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Choice CD-ROM 6 - Disc 1.iso
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1997-05-12
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1KB
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23 lines
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意識の失墜があった。俺は我にかえって、画面の数字の羅列を見つめた。脳波の測定器に異常はない。俺はコネクタを、こめかみからハズした。……たいしたトラップもなくてよかった。
音声回線から、俺の雇い主の声が流れ出た。
「……どうだ。あれでも『どうして壊さなきゃならない』か?」
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「んにゃ。壊して正解。……精神に悪すぎるぜ」
プログラムされた俺が潜入した『グレイス・ワールド』という名の仮想現実世界。五感や意識まで再現できる、驚異の世界。
俺まで危うくハマるところだった。俺の意識からマサミを再現するたぁ、敵もヤルゼってか?
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「何人、帰ってこなかったんだ?」
「十の指に余る。キミで十二人目だったか、十三人目だったか」
だいたい敵も馬鹿だぜ。運が悪すぎる。
俺は机に放り出された封筒と写真を見やった。……まぁ、こんな物を見ちまったから、その意識を敵に利用されたとも言える。
/
だいたい、この世にマサミはいない。俺はその知らせを今朝、受けたばかりだ。……この虚脱感が、俺を現実に立ち戻らせた。
あの泣きたいような不安感。夢の中で『夢だ』と認識してしまったような絶望感というか。
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「……ふ……」
「どうかしたか?」
音声回線からの怪訝な問い口調。
悪かったな。
いい夢から放り出されて、泣きたくなることだってあるんだよ。